合間居 -aimai-
1-15 June 2016 Itoya coffee factory 2F
過去の中にある自分のカケラ、未来に見える自分のカケラ。
少しの間、この穏やかな場所から見つめ直して欲しい。
ここに居る自分とそうでない自分。
あなたは今、その合間に居る。
自分に馴染みのないものを見ると、一瞬思考が停止することがある。
私は何かものごとを聞いたり目の当たりにするとき、なんともいえない、大きな衝動にかられることがある。なぜだか悲しく思っていることがあってもそれを乗り越えられるという確信を得られたり、逆に今すぐにでも死にたいと思うことも。
作品や人やものによってまったく違う様相をしているが、’思考’でなく’感情’が強く働いていることは自身でもよくわかる。
この’合間’にいるときに、思考と感情とがうまく絡まらずに別個でズレを感じながらも脳は混乱せずに働いているという、これまたなんとも言えない感覚に陥るのだが、そこから抜け出しときに何を見ていたのかを覚えているか、十人十色、その時々ものによっても変わってくる。
・忘れられない
・印象に残る
・覚えている
・ぼんやりとあいまいなまま覚えている
・まったく覚えていない
私の作品の場合、あまり刺激の強いものを制作しないためか記憶に残らないか、ぼんやりとあいまいなまま記憶に残るのだそうだ。
ただ、制作しているこのカケラシリーズの’カケラ’がなんのことなのか、絵の中のどれにあたるのかを伝えることで変わることもある。本来であればじっくり見ていただいて、そこからいろいろなことを発見、想像していただくことが推奨する作品の楽しみ方ではあるのだが、いかんせん私自身の作品はその力が弱いため、ほんの触りだけ伝えることもあった。ある方は、’カケラ’をシークレットミッキーのようだと答えてくださった。
三角形=カケラ、という誰もが思いつくようなそれは視覚的に記憶していただくものの中でもごく些細なものだと思う。だが些細なものであっても作品を鑑賞する際のひとつの道標となる。
確信の持てる’答え’を求めすぎている多くの日本人にとってキャプションは大いに役立っているものだと思うのだが、小さくも少しずつ作品を鑑賞する楽しみを見つけてほしい、と切に願う。
例えば新しいものを見つけたときに。
例えば何かに馴染めなかったときに。
例えば疲れて論理的に思考することを休みたいときに。
特にこの何もかもが秩序的なようで其の実絡まっているこの世界では、様々な感情はもっと色を持ってもよいのではないか。感情に色をつけるひとつの小さな力添えができたら、心嬉しく思う。
合間居 1st June 2016 草間 彩子
あたたかな空気と、六月の雨と、コーヒーの香りと、お気に入りの本と。
2016年 6/1(wed) -6/15(wed)
10:00-19:00(木曜定休日)
Itoya coffee factory 2F
〒376-0035
群馬県桐生市仲町3-15-20
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